ユーライ

フレンチ・コネクションのユーライのレビュー・感想・評価

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)
4.7
「刑事が麻薬の売人をひたすらに追いかける」これだけ。ただそれだけのお話が何でこんなに面白くてカッコいいのかということだ。カーチェイスが映画史に残ることは知っていたが、実際観てみるとなかなかに異様なシークエンスになっている。車対車ではなく見上げる位置にある列車を下で追尾しつづけるという不毛な一人相撲の感が強い。何かレールに乗せられた実態もよくわからないものをがむしゃらに追いかけなければならない理不尽。粗暴で暴力刑事に見える彼は逆に神経質にすら見える執念だが、空振り続きで上司から疎んじられるわ犯人からはおちょくられるで散々、それをあくまでクールに低体温で魅せる。劇伴の刑事アクションに似合わない冷たいピアノも効果的。ラスト、犯罪者である犯人共と違って俺には仲間がいるぜ!というのを前後の関係で示すも結局再び仲間を殺してしまう。廃墟の煉獄感というかこの世ではない感触。結末をボカしたまま劇中のカットを再利用して「別にどうにもならんかった」でバッサリ終わることで突き放しっぷりが頂点に達する。クーール。やっぱりカッコいい。
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