イチロヲ

サルトルとボーヴォワール 哲学と愛のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
自由意志を尊重する哲学者のカップルが、「結婚しない結婚生活」の実践を目指そうとする。実在の哲学者を題材に扱っている、ヒューマン・ドラマ。筆者は両者の文献を読了済み。

サルトルは不作法で容姿も醜いが、話術と行動力に長けているため、若い娘を惹きつけることができる。一方、ボーヴォワールはエゴイストであり、自分の思想に抗う者に対して、攻撃的になってしまう。そんな人間性が、本編内でしっかり描写されている。

しかしながら、映画的な面白さがあるのかというと、かなり微妙な線であり、とにかく語り口が単調。ふたりの出会いからナチスの侵攻、戦後までを駆け足で描いているため、悪い意味で展開がバタバタしている。

ドラマ自体は、ボーヴォワールのフェミニズム観点がメイン。哲学の変遷を追体験することができるので、「100分で分かるサルトルとボーヴォワール」というタイトルの、簡易入門書のつもりで鑑賞すれば、それなりに楽しめる。
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