Jimmy

追いつめられた男のJimmyのレビュー・感想・評価

追いつめられた男(1950年製作の映画)
4.3
本作を以って、川本三郎さんの著書「サスペンス映画ここにあり」で紹介されている55本のサスペンス映画すべて鑑賞済。ようやく…である。
川本さんの紹介するサスペンス映画(ノワール映画含む)は、本当に面白い作品ばかりで素晴らしい作品チョイス。

さて、本作は、ある静かな町に一人の男がやってくる。男は少年時代にこの町に住んでいたらしいが、彼を知る者はいない。また、なぜ男が戻って来たのかも不明。
このフラリと戻って来た男がジョゼフ・コットンなので、ヒッチコック監督作『疑惑の影』の怪しい叔父を思い出す。
帰って来た男クリス(ジョゼフ・コットン)は、ある老夫人の部屋を借りて住むようになり、町の工場で仕事して働く。仕事仲間とポーカーするが、これまたクリスは凄くポーカーが強そうで「キングのフォーカード」を手持ちしているのに、わざと負ける。…このシーンから、もしポーカー強いのが仲間に知れると何かまずいことがあるのではないか…と思わせられる。このあたりから「ジョゼフ・コットン、実はワルなのか?」と思い始める。
そんなクリスは、ある女性(アリダ・ヴァリ)と近づきになってお互いに良い雰囲気になったりする。

そして、クリスは老夫人に「2日ほど家をあける」と言って、飛行機に乗って出かけた先で、ある男レイク(ポール・スチュワート)と会う。どうやら二人は、強盗コンビらしく、今回の大物狙いを最後に足を洗うつもりらしい。
このジョゼフ・コットンの相手方のポール・スチュワートは、あちこちのノワール映画で見かけるが、『窓』(テッド・ラズロフ監督)で殺人を少年に見られたので少年を殺そうとする役が印象的。
さて、二人はギャングの大金を強盗することに成功して、金を山分けして強盗稼業を終わりにするはずだった。二人は「他人から目立ってしまうので、大金は当面使わない」という約束をしていたのだが、レイクがギャンブルに使ってスッカラカンになってしまったことから、ギャングに追われ始めて、なんとレイクは静かな町で暮らしているクリスの元に現れてしまって……という展開。

なかなか面白い映画であり、ジョゼフ・コットンとアリダ・ヴァリの二人が出ているのは『第三の男』を思い出すが、本作の方が先に作られていてお蔵入りになっていたらしい。
だが、『第三の男』がヒットしたため、本作は公開されたらしい。こんな作品がお蔵入りなんて勿体ない話であるが、日の目を見て良かった映画だと思う。
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