りか

黄金の棺のりかのレビュー・感想・評価

黄金の棺(1966年製作の映画)
5.0
唸る。これも傑作。実に味わい深い。北軍の軍資金輸送団を皆殺しにしてその金を奪う謎の一家。実は父親は南軍兵士であり、敗色の濃い南軍立て直しの為、息子たちと奪った金を棺桶につめて運び帰ろうとするが・・。

大筋は金を敵に悟られぬように運搬するロードムービーだが、見事な脚本と次から次へと遭遇するアクシデントに飽きることなく鑑賞できた。果たして金を故郷まで運ぶことはできるのか・・。棺桶は戦死した将校を運ぶ設定のため運搬時に「未亡人」の女役が絶対に必要なこと。主人公の青年ベンのみ腹違いの子で、心優しく、実直で有能だがあとはクズばかりの兄弟という構成。一家をとりまとめる父親は南軍立て直しの使命感に取り憑かれ、目的のために手段を選ばなくなっていく・・

主人公のベンがSWのルークを彷彿とさせる好青年でどえらいイケメンなんだけど、自分だけ腹違いの子のため、父親の機嫌を伺わないと家族として受け入れられないと思い込んでいる。クライム ロードムービーでありながら親子の確執、子の精神的自立もテーマになっている。最後の最後まで親、兄弟を見捨てることができないベン。それは彼の心の優しさなのかはたまた弱さ故なのか。

ラストは思わず涙が滲みました。勇猛でいてレクイエムのようなテーマ曲がまたすこぶるマッチしてるのだ。モリコーネ天才過ぎ。
セルジオといえばレオーネだったけれど、コルブッチの手腕も筆舌に尽くし難い。コルブッチのがもしかしたら作風としては好きかもしれない。
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