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レポマンの一人旅のレビュー・感想・評価

レポマン(1984年製作の映画)
3.0
アレックス・コックス監督作。

ローン未払いの車を回収する業者“レポマン”になった青年・オットーが、宇宙人の死体を積んだ車を巡る陰謀に巻き込まれていく姿を描いたSFサスペンス。

『シド・アンド・ナンシー』の鬼才アレックス・コックス監督の記念すべき長編デビュー作で、内容はSFテイストのサスペンスといった印象。デビュー作の時点でコックス監督の真骨頂であるパンクな演出が散見されるが、本作がマニア向けのB級映画という大前提があるので、突飛で支離滅裂な演出があっても許容の範囲内。

また、ロバート・アルドリッチが1955年に監督した傑作『キッスで殺せ!』にオマージュを捧げた作品としても有名。とは言っても、ストーリー自体は“SF+フィルム・ノワール”の『キッス~』と関連性はなく、『キッス~』で象徴的に登場した“核の箱”を、本作では“車のトランク”に置き換えて登場させている。車のトランクを開けるとトランク全体が白く光り輝き、開けた人間を一瞬で灰にしてしまう(足だけは残る!)という強烈な演出は、『キッス~』の“核の箱”を開けた時の展開と同じ。『キッス~』との共通点はそのくらいで、それ以外はコックス監督の自由なイマジネーションに基づいたパンクな演出&世界観が炸裂している。

宇宙人が積まれた車を運良く手に入れたかと思えば、一瞬の隙を突かれて別のグループに強奪されたチンピラ二人組が、逃げ去る車を追うでもなく買ったばかりのドリンクを仲良く飲み始めるというシュールで能天気な演出が楽しい。オットー(エミリオ・エステヴェス)が商店に入る度に、なぜか強盗に遭遇してしまうという謎の展開も小気味いい。狭い店内で繰り広げられる「レポマンVS強盗VS店主」の激しい銃撃戦はアクションとして秀逸な出来。片手が義手の女捜査官や、「空手」の文字がプリントされたTシャツを着る日系人らしき店主などの個性派キャラがいちいち印象に残る。結末は奇想天外&意味不明で、呆気に取られること間違いなし。
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