一般的に「ルノワール」といえば印象派の画家ですが、映画好きにとってはその息子のジャン・ルノワールなのです。(フランス映画ですが)イタリアのネオリアリズモの先駆けとして有名な作品でもあります。クライテリオンから出ているレストア版BDで鑑賞。これ、本当に1935年の映画なの?ってくらいキレイです!
さて、どの辺がリアリズムなのか?ルノワールが友人の警察官から聞いた実話に基づいた話です。実際の現場だったフランス南部のマルティーグまで赴き撮影しました。出演者の多くも現地の普通の人たちです。
ストーリーとしては恋のすれ違いから生まれる殺人事件。メロドラマといえばメロドラマ。映画では全く触れられていませんが、時代背景としてスペインのフランコ政権とイタリアのムッソリーニ政権という二つのファシスト政権があります。多くのスペイン人やイタリア人が隣国のフランスに出稼ぎに行きました(主人公のトニはイタリア、ヒロインのジョセファはスペインから来ました)。
ストーリーはとても暗いのですが、プロバンスの日の光に満ち溢れた映像が美しいコントラストとなっています。これは撮影監督のクロード・ルノワール(ジャン・ルノワールの甥)の功績ですね。
とても美しい映画だと思うのですが、如何せん現代の日本人であるボクらには理解しがたい面があるのは確か。人を選ぶ映画だと思うので、万人にはオススメできないですね。