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教授と美女のzhenli13のレビュー・感想・評価

教授と美女(1941年製作の映画)
4.5
面白かった〜。最初から最後までニヤニヤしながら観てた。監督ホークス、脚本ワイルダーの面目躍如もさることながら、撮影、美術、キャスティング、衣裳、それぞれが粒ぞろいに結実した作品で見応えある。

入り組んで色んなところから人が出入りできる屋敷のセットで、ソファでおみ足を上げるバーバラ・スタンウィックに困惑するゲイリー・クーパーをルーズで捉えつつ、背後左右の上階から4人と3人の教授たちが覗き見るところを構図にきれいに収めて一コマ漫画のようになっている。スタンウィックがコートを脱ぐと先ほどまでのステージ衣裳のままで、イーディス・ヘッドによるピラピラ衣裳の大きなスパンコールを男所帯の屋敷でこれでもかと輝かせる。カメラのグレッグ・トーランドはフォード『怒りの葡萄』『果てなき航路』も手掛けてるのか〜。
屋敷内のシーンが多く台詞の応酬も続くが飽きさせないどころか、粋でニヤニヤさせてくれる脚本がさすが。序盤で清掃業の男が屋敷に入ってきてお手伝いさんは嫌がるけど、教授たちは知的好奇心が断然勝ってて貴賤など気にもしない学究の徒、というのが説明でなく伝わる。町に出てスラングを真剣な顔でメモするクーパー、彼の言葉は馬鹿丁寧で、調査に協力する人々はスラング、というコントラストも英語がちゃんと判れば面白いんだろうな。
オスカー・ホモルカやヘンリー・トラヴァースなど七人の教授たちのわちゃわちゃした群像がまた味わい深く、屋敷内のシーンにも活気が出る。スタンウィックを先頭にレコードかけて列になって踊るシーンとか、事故で足止めくらった宿での宴会シーンもよかった。

ゲイリー・クーパーて演技上手いのか下手なのかわからない東出昌大て感じで、こういう朴訥とした役(のわりにアプローチ早い)が合ってる。クーパーが王子様というより、箱入り娘のクーパーと七人の小人たちという風情もあってほんと楽しかった。
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