離婚した母、その新しい彼氏、無邪気な幼い妹との摩擦により孤独を深める多感な中学生が祖父の死をきっかけに様々なものに対して折り合いをつけていくお話。オフの音の使い方、フレーム内フレームや陰影の付け方、メタとしての小道具類の機能的使用など1カットに込める情報量の多さが学生レベルでないことは明らかだし、もはや相米慎二の「お引越し」に肉薄するほどの完成度。流れの絶えない川に降り立ちしっかりと地に足着けて奏でる祖父へのレクイエムはめちゃめちゃ響いてくる。水への不穏なイメージはすげぇ共感できるし、渡辺真起子がおかん役の作品には信頼しかない。
2020-M1