スローターハウス154

恋のドッグファイトのスローターハウス154のネタバレレビュー・内容・結末

恋のドッグファイト(1991年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

これ、良かったなあ。
あんまり期待してなかったんだけど、予想以上に良作だった。

ドッグファイト、ブスな娘を集めたパーティ。
「人生で最後のパーティになるかもしれないのに、なんでこんなマゾっぽいことするんだろう(可愛い子集めればいいのに)…」と疑問だったが、しばらくしてああなるほどなと思った。
その戦場に行く前のパーティでカワイイ恋人なんかができちゃったら、別れの時に辛い思いをするハメになる。かといって男ばかりのパーティなんてシケてる。じゃあブス集めりゃ良いじゃん!どうせなら笑いのネタ増やして戦場行こうぜ!
…って発想なんじゃないかと。
わりと理に適っているので実際にありそうな気もしますが…調べても見つけられない…

そんなわけで、リヴァー演ずるエディや仲間達は各々街に繰り出しブスハンティング。エディは思うように上手くブスをナンパできないでいたが、イマイチな顔のウェイトレス・ローズをなんとかゲットする。
だが、ローズと一緒にいるにつれて彼女の持つ魅力にだんだんと惹かれていく。
あれれこんなつもりじゃなかったのに…と自分の心の揺らぎに戸惑うエディ。
ローズもローズで、ブス扱いされてこんなに傷つけられたのに…と思いつつも、改心したエディに惹かれていく。
不器用な2人がいい雰囲気になっていく過程が愛おしい。たくさんのオルゴールの中での2人のシーンは、それは素敵なもんでした。
2人で夜の静かな街を話しながら歩いたり、明日には別れなくてはならないという切ない条件に縛られたりと、なんだか『ビフォア・サンライズ(恋人までの距離)』を思い出さずにはいられなかった。

バスの窓から、ローズの住所が書いてある紙を破って捨てるエディ。
文通が上手くいかないんだってことがわかってたからこそ、そうしたんだろうと思う。
きっと、あの一夜を特別なものとして記憶に残したかったんだろうな。

ここで映画が終わっても良かったと思うけど、話は戦後に移る。

揃って帰ることのできなかった4B。
帰還兵に対して世間はよそよそしい。ローズも以前のように迎えてくれないかもしれない。
そんなやり切れなさや迷いをを抱えつつローズの店の様子を伺うエディ。
ローズはちゃんと迎えてくれた。
優しく、何も言わず抱きしめるローズと、エディの色んな感情が詰まった表情…
2人とも良かったねと心の底から思った。

ある特殊な時代の中、夜から朝の隙間に恋に落ちた2人の甘酸っぱく切ない、小さな宝物のような映画だった!