1956年公開、アメリカとメキシコ合作の怪獣映画。
元はキングコングで著名なウィリス・オブライエンが企画していた映画でしたが実現しなかったものを、映画プロデューサーが買い取って作成した作品です。
登場する怪獣・ドラゴドンはストップモーション・アニメーションで表現されていますが、本作にウィリス・オブライエンは参加しておらず、キングコングやジョーヤングに比較すると動きはやはり若干ぎこちない感じがあります。
ただ、本作ではストップモーション・アニメーションとしては最初のカラー作品であり、特撮史上では重要な一作であると言えます。
メキシコのホロー山麓にある牧場の牧場主であるアメリカ人のジミーとフェリペは、牛泥棒に悩まされています。
メキシコ人のエンリケはジミーらを快く思っておらず、ジミーは牛の盗難もメキシコ人の嫌がらせだと考えています。
土地の権力者のドン・ペドロの娘エリータは二人の数少ない味方ですが、エンリケとエリータは婚約しており、そういうこともあってエンリケはジミーを目の敵にします。
牧場に雇われているパンチョは、二人への恩からなんとか牛を見つけ出そうと、山の沼地に向かいますが、そこにいたのは怪獣でした。
ホロー山の沼地に住む怪獣がやがて街に降りて、人々を襲い始めるという展開です。
原題は"The Beast of Hollow Mountain(ホロー山の怪物)"で、作中でも怪獣の名前は登場しません。
ドラゴドンという名前は日本上映時につけられた、日本向けの名前ですね。
"ドラゴドン"という西洋竜っぽい名前ですが、ビジュアルは恐竜そのものです。
獣脚類っぽい二足歩行の恐竜で、口の小さめなティラノサウルスのような見た目をしています。
一応ストップモーション・アニメーションですが、足元のアップなどでは明らかにきぐるみが使われていて、B級感があります。
特徴の薄いデザインですが、エリータの隠れた小屋を襲うときに、舌をすごい勢いでペロペロさせていて、そこだけはすごく良かったです。
80分ほどの映画なのですが、60分ほどでようやく登場し、また登場シーンも少なく、ストップモーションをしかもカラーで作るのが難しかったんだろうなと思いました。
がんばってなんとか舌だけペロペロさせたんでしょうね。
映画自体は普通に面白かったです。
古い映画ですが、エンターテイメント性が高く、最後まで飽きること無く楽しんで見れました。
ただ、途中、エンリケの企みがバレる展開があり、結末の伏線のように思ったのですが、特に言及はなくそのまま終わってしまいます。
それどころか終盤エンリケが大怪我するのですが、生死もわからず仕舞いで、ぷっつり終わってしまった感じがありました。
エンリケが要所要所で大暴れするのですが、結局ただの嫌なやつで終わり、そもそもストーリー上必要だったのか疑問が残りました。