まさかさかさま

将軍の娘/エリザベス・キャンベルのまさかさかさまのレビュー・感想・評価

4.0
これはなかなか、隠れた良作なのでは。
TSUTAYAさーん、「発掘」にいかがですか?

「隠れた」といっても、当時の映画誌によると、本国の興行ランキングでは一度も一位になることなく一億ドルを突破した、つまり、ジワジワ口コミ型のヒット作だったわけで、それが今やサスペンスの棚に目立つことなくひっそり並んでしまっているのが本当にもったいない。

題材が題材だけに、老若男女楽しめる全方位型娯楽作というわけではない辺りが、見る人を選ぶのかもしれません。
人生を狂わされたひとりの女の壮絶な生きざま、悲惨な死にざまが徐々に明らかになっていく物語は、見ていて爽快なものでは決してなく、むしろ胸糞悪くなる展開の連続なんですが、それでもグイグイ引き込まれるのは、ちゃんと彼女のキャラクターに血肉が備わっているからだと思います。
突拍子がないように思える、自らを○○に○○○○るといった行為も、そこまでの描きこみがあるから、なるほどさもありなんと思えるのでは。

隠し部屋であるものを見つけるシーンや、窓辺に猫が現れるシーン、ターニングポイントとなる、実地訓練中の○○○シーンなど、ゾッとするシーンの演出もうまいし、サスペンス好きなら是非見ていただきたい。

難を言うなら、本題に入る前の主人公のキャラ説明パートが冗長だったことと、最後の字幕での展開説明が不要だったこと、あとは、殺人事件に直接関係ないドラマの部分が濃すぎて、犯人が誰でなぜ、というところが割とどうでもよい印象になってしまっていることでしょうか。
でもその、直接関係ないドラマの部分を描くことにこそこの作品の意義があると思うし、見ていない方にもぜひおすすめしたいポイントです。

自分は、もっと詳しく世界観を感じたいので、原作も読んでみたいと思います。