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シルミド/SILMIDOのriのネタバレレビュー・内容・結末

シルミド/SILMIDO(2003年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

とっても好きな感じの作品でした。
私の大尊敬する映画レビュー書く方の言葉を引用させていただくと、「どうしようもない人間のクズたちが国家のために生まれ変わろうとしたのにも関わらず、国家に見捨てられる」そんな実話。
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鬼教官のチョン2曹が実は情に一番熱い指導員だったり、隊員も過酷な訓練の中でも、自分の指導員と信頼関係が築けていく。綱渡りの訓練のシーンとかすごかった。これは訓練してるだけで死にたくなるし、そりゃあ最強の部隊になるわな。全ては平壌に渡り、金日成を暗殺するためだけに彼らは死に物狂いで3年間訓練してきたのだ。しかし、南北融和が進むにつれて、国家は684部隊は必要でなくなり、むしろ前の時代のお荷物扱い、抹殺せよという命令が下る。
絶望的な展開だが、ここで、指導員と隊員の絆がわかってしまうんだよね。殺らなきゃ殺られる。戦争とはまた違う、悲しい殺し合いだった。ここは、本当に救われない。
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684部隊はそのまま、李承晩大統領に会うためバスをハイジャックして向かうが、共産党ゲリラ呼ばわり。自分たちがどれだけ国家のために頑張ってきたか、その訓練の努力は認められず、むしろ、共産党ゲリラ19人死亡と、名前も功績も真実も闇に葬られるのだ。彼らは訓練で習った。敵に殺されそうになったら恥がないように堂々と自決せよ、と。チョ2曹が飴をちゃんと買っていたシーンも、くさかったけど泣けたし、血で最後自分の名前をバスの壁に書くシーンも、手榴弾で自決するシーンも、切なすぎた。
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そして、シルミド事件の真相に関しては、完全に闇に葬られてしまうのだ。
邦画の、軍旗はためく下にをみた時と同じような後味でした。戦場を実際に見ていない上の人間が下す命令って、いつも残酷。国家のために、命を捨てる覚悟をしたところで、国家が守ってくれる保証はどこにもないのにね。
それと、彼らは死刑囚だったらしいけど、死刑囚だから、なんだろう。人間は反省して生まれ変わることができるのに。死刑制度もやっぱり反対だな。
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特典に銃器ミリタリー解説というものがついていて、素晴らしかった。マニアには嬉しい特典。
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