アラシサン弐

SOMEWHEREのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
3.8
エル・ファニングのこの「妖精味」は何なのだろう。
行動自体はそこらにいる11歳の少女相応であるのに、何というか良い意味で人間っぽくない。
ウィースポーツ懐かしい。

成功者であるにも関わらずなんとなく空白を抱えてる父親が、娘のいる空間といない空間を味わうことで、空白の正体を知っていく姿は孤独だ。

しかも、その娘が存在自体が多幸感を生み出す妖精であるからか、孤独に説得力がある。

父が妖精と過ごしている映像は、ファンタジー世界での出来事を見ているようで、そこから妖精が消えた世界は孤独を超えて虚無ですらある。

感情をあえて言葉にしないところがこの監督らしいというか、近づいてくる女と情事に励む父と、その姿に違和感を感じながらも何も言わない娘の視線から、「寂しさ」を発信させるのは何とも詩的だった。
アラシサン弐

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