ごんす

SOMEWHEREのごんすのレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
3.9
監督はソフィア・コッポラ
主演はスティーブン・ドーフと天使。

自堕落ハリウッドスターが娘との関わり合いの中から少しずつ変わっていく様子を見守る映画。
とても静かな話で大きな出来事はあまりない。
パパと娘のハートフルなドラマと思うと肩透かしを食らう。

監督自身の過去を投影しているのか孤独や虚無感を感じている人物が印象的な作品だった。

まず絶対に触れずにいられないのは天使の件。
スティーブン・ドーフ演じるハリウッドスターの主人公の娘役を天使が演じている。
何度確認しても天使だったので多分天使。

フーファイターズの『マイヒーロー』が流れる中デリバリーポールダンス?を眺める主人公のツラ(やたらと長回し)と天使のフィギュアスケートを見守る時のお顔の違い、とても良かった。
観ていると天使が演じている役はソフィア監督の子供時代か…と感じる。

主人公の全てを手に入れたような暮らしっぷりに一瞬、これでも孤独感とか感じる暇があるのかなと思ってしまったけど、ふと一人になった時の空っぽな感じは華やかさとは関係ないのかもしれない。

監督の作家性なのか特殊な育ちかたをしたから必然なのか自分の話多いなーと感じる。
『ロスト・イン・トランスレーション』もパーソナルな部分が強く出ているんだろうなと感じたけれど本作もかなり。
そしてそういう監督は結構好きかもしれない。

監督の私的な小さな話を受け取りこちらの感想が勝手に日々深化していくような作品。
好き嫌いは結構別れそう。
超退屈、つまらん!とぶった斬る人の気持ちもよく分かる。
良かったと思った自分も退屈に感じる部分もあったし、長回しも面白いけど回数が多すぎな気もする。

父親が天使に「傍にいてあげられなくてごめん」と言ったのを聞き取れたのか分からないのがとても心に残る。
ごんす

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