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誤発弾のyのレビュー・感想・評価

誤発弾(1961年製作の映画)
4.0
ユ・ヒョンモクの代表作。戦争で脇腹をやられ松葉杖姿になった青年は、結婚を互いに意識するほどに大切にしている女性がいた。生真面目で仕事の虫にも拘らず歯の治療もためらう程に困窮にあえぐ男には、靴すらまともに買ってやれていない娘がいた。正反対の性格の兄弟のそれぞれの歩む道。人はみな、神の造った誤発弾だ。
一般社会とは必要とされる素質がまるで違うからだろうか、除隊後に就職することができない男たち。不幸に見舞われてしまう彼らを手助けできるのは、銃だけなのだろうか。銃は目の前に立ちはだかるあらゆる壁を打ち壊すことができるものなのだろうか。違う形で貧富の差を描いた『パラサイト』が世界中で特大ヒットする今の世の中は、この映画が公開された頃からどう変わったのだろうか。
耄碌しながら「行こう、行こう」呟く母のそれは、脈絡なく発せられる言葉であることは明らかなのだが、「スーパーに行く/行かない」「男が逝く/逝かない」話をしている間にボソッと被せてくるのがツボ。
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