松井の天井直撃ホームラン

ピンナップ・ガールの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

ピンナップ・ガール(1944年製作の映画)
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↓のレビューは、以前のアカウントにて投稿したレビューになります。

☆☆☆★★★

明るく楽しいベディ・グレイブル主演の20世紀FOXミュージカル。

但し、製作されたのが。日本との戦争真っ盛りの戦時中の為に。話の内容自体は、他愛のないボーイ・ミーツ・ガール物語でありながらも。作品の本質は、国威発揚ミュージカルでも有る。

楽しく観ていると、突然にラストシーンで〝 それ 〃を感じさせられる。

主演のベディ・グレイブルは。タイトル同様に、当時の軍人さん達から絶大な人気を獲得していた女優さん。

作品中にも、彼女のピンナップ写真が使用されている。

みんな明日をも知れぬ運命の中で、彼女の写真を抱きしめながら戦場を生き抜き。日々の恐怖を払拭させていたと言う。

当時の、戦場慰問の様子の映像が残されているのですが。遥か彼方から彼女を目掛けて殺到する軍人達の姿は、凄まじい物が有る。

この時の司会者として同行した、コメディアンのポブ・ホープが「みんな!彼女の脚の為に頑張って(戦って)くれ!」…と言ったのは有名なエピソード。

それ程に、彼女の脚線美は。当時の男性を魅了し、虜にしていたと言う証でも有る。
彼女自体は、心の美しい人だった…とゆう証言が多数残っていて。主演作品が軒並み大ヒットしていたのですが、アカデミー賞等の賞レースとは生涯無縁だった。
それでも、「私は良いの、脚だけ見せていれば殿方に喜んで貰えるから!」…と、とても謙虚な女優さんだったと伝えられている。

作品のストーリーは、基本的にバックステージミュージカルだけに。ミュージカルの基本に乗っ取られて、突然歌ったり。突然踊ったり。とゆう場面は無い…って言いたいのだが。実はファーストシーンで、いきなり画面に映る全ての人の歌からスタートする。

全く有り得ないって言えば有り得ない訳で、、、

但し、その様な違和感を場面を感じさせる場面は、このファーストシーンだけなので、どうかご安心を。

しかし、ラストシーンがなあ〜^^;

いきなりの歌で始まりながら。ベディ・グレイブルの美しい歌声と、コンドス・ブラザースの素晴らしいタップを見せられたら、ミュージカルファンとして嬉しくなってしまう。

彼女は戦時中に製作された、アメリカの国威発揚ミュージカルの大スターで有る為に。彼女主演のミュージカル作品は、そのほとんどが日本未公開の憂き目に合っている。
その為に、彼女のミュージカル作品には欠かせないダンスチームだったコンドス・ブラザースの存在自体も、日本では全くの無名。
僅かに、グレゴリー・ハインズ主演の映画『タップ』に出演したのが、日本で公開されたくらいか?
『タップ』の中で、「俺のステップを盗んだな!」…との台詞を言っていた記憶がある。

コンドス・ブラザースは、大概作品中に2回程度のタップを披露して作品に華を添える。
この『ピンナップ・ガール』の中では、映画中盤で披露するタップがとにかく圧巻。
映画史に燦然と輝くタップシーンだと思っている。

劇中に於けるコンドス・ブラザースの世界遺産クラスのタップ。
https://youtu.be/wjVGERKR1OI?si=frVVwQSVTqX-gIhe

今回は字幕入りDVDで観たが。この場面だけは、うん十年以上前に購入した輸入ビデオが擦り切れる寸前まで見続けた。

他にも、ミュージカル作品としてのの楽しさが実に満載。
ナイトクラブを背景にしているので、華やかなレビューシーンが。
ゲスト出演のスケーティングヴァニティーズによるレビューシーンがまた華やか。

この場面でのレビューシーンを、自身の監督作品に取り入れたのでは?…と思えるのが。ボブ・フォツシーの『オール・ザット・ジャズ』

ボブ・フォツシー本人を演じる主演のロイ・シャイダーが、死を迎える瞬間に、妄想をするレビューシーンが「あれ?これ、ひょっとして参考にしたのでは?」と思わせる。

劇中に於けるスケーティングヴァニティーズのパフォーマンス。
https://youtu.be/8tb8wA6d2qA?si=7m_NXDA12rvWlzJu

まだまだミュージカルの楽しさに溢れた場面が有ります。ラストシーン以外は^^;

意地悪なマーサ・レイの下品な演技と歌を楽しんでいると、、、

来た〜! ♪───O(≧∇≦)O────♪

ベディ・グレイブルとハーミス・パンのダンス。

ミュージカルファンならば、ハーミス・パンが出演しているだけで涎が出てしまう。
彼自身の映画への出演本数が少なく。普段はミュージカル作品のダンス監督として、裏方に徹していた為に。この作品では、彼のダンスが見られる事自体が超希少価値。
※ 因みに、このコンビによるダンス場面は、『ムーン・オーバー・マイアミ』でも見られます。

超貴重なハーミス・パンのダンス場面
https://youtu.be/1VcLmH0Di94?si=g8VALOzSYp2EjGFk

監督のブルース・ハンバーストーンは、今日まで凡庸な監督との評価しか得られていない監督さん。
でも、これまで彼の監督作品をいくつか観た感想としては。少なくとも、退屈な感想を覚えた作品は少なく、大体は満足させて貰える。
…とは言え、この作品のラストシーンは、、、

理解はしています。この作品自体が、戦場を巡回する慰問作品でも有る訳ですから。

「君達!ちょっと頑張ったならば、こんな美人とネンゴロになれるんだぞ!」…と言った、国威発揚が。歌の歌詞と共に、随所に日本を表現する【ジャップ!】の台詞も何度も使われているのだから。

戦場慰問でこの作品のラストシーンを観た兵士達が、「見ろよ!彼女、俺たちと同じ事やってるぞ!」…とばかりに、指笛をピューピューと鳴らしている姿が目に浮かぶます。

こんな高い採点を付けるのは多分俺だけだろうなあ〜
( ;´Д`)


初見輸入ビデオ(字幕無し)

DVD鑑賞



※ Betty Grable - Moon Over Miami (1941) - "Kindergarten Conga"

https://youtu.be/PAVN4p2qz8A?si=IImUeJUcXqnNAu73