ATSUSHI

リセットのATSUSHIのレビュー・感想・評価

リセット(2011年製作の映画)
5.0
原題: Bringing up Bobby

良い映画だった。
詐欺師として生計を立てるウクライナ出身のオリーヴは悪行を続けながらも一人息子のボビーには限りなく愛を注ぐ。ある日ボビーが交通事故により負傷してから、怪我を負わせた一流企業家のウォルトと出会う。父親のいないボビーにまるで家族のように接してもらうなか、遂にオリーヴに逮捕の日が近づこうとしている…


クライムものといえばそれ要素が含むのも確かで邦題も最後まで観れば意味は通じるものではあったが、決してサスペンスではない良質な親子ドラマ。

海外版ポスターでは冒頭のボニー&クライドのノリで仕上がっており、作品自体も60〜70年代テイストを意識しているのも確か。舞台が比較的現代でもタブレット製品、スマホが一切出てこないのがポイント。(辛うじて出るのはガラケー)
ラストカットなんて『モダン・タイムス』しかり、苦味を残しながらも前向きなエンディングを迎えるのも強く印象に残った。


地味である代わりに俳優の良さが出るタイプの作品ということで、
脇を固める心強いビル・プルマン夫婦、詐欺師仲間のだらしないウォルト、終盤の女刑事と存在感のあるキャラクターは揃い、
息子ボビーの演技もなかなか。

何より愛するミラ様の渾身の演技に拍手!
自身が娘3人の母親でもあるからあの苦悩はとても説得力がある。

衣装をはじめとする美術面も冴えてて、扱うテーマも含めて『フロリダ・プロジェクト』に通ずるものがある。
つくづく配給会社にはしっかりしてほしいと思うところである。

しかも監督があのファムケ・ヤンセンですよ⁉︎