風来坊

アウトローの風来坊のレビュー・感想・評価

アウトロー(2012年製作の映画)
5.0
過去レビュー投稿。

ピッツバーグ近郊の街の昼下がり、川沿いを歩いていた男女5人が対岸からライフル銃で無差別に射殺されるという事件が発生する。
捜査の結果、警察は元米陸軍のスナイパー、ジェームズ・バーを逮捕する。
取り調べで黙秘を続けていたバーだったが、突然、ジャック・リーチャーを呼べと紙に書くが…。アメリカ製のサスペンスアクション。

原作はアメリカの小説家リー・チャイルドのジャック・リーチャーシリーズです。小説は「キリングフロアー」「反撃」、警鐘」「宿敵」「前夜」「アウトロー」「奪還」「最重要容疑者」「ネバーゴーバック」を既読です。

もう散々言われている事ですが原作ではリーチャーは190㎝の大男なんですが、演じたトム・クルーズさんはそこまで長身大柄じゃないので原作ファンから当時は不満も出ていました。

ただこの点は原作者のリー・チャイルドさんが「最高の俳優が演じてくれてるので、細かい事は気にしてない」と言って火消ししていました。
現在Amazonで観れるのジャック・リーチャーのドラマ版では原作通りの長身大柄な俳優さんになっていますね。

確かリーチャーって運転免許が無いはずなんですが、車をめっさ運転してましたね…。
なので陸路、徒歩とかでの移動が原作では多いのですがやはりそれは映画的ではないとされたのか、映画ではその辺は描かれてませんね…。
まぁ…原作の中でも免許が無いだけで車の運転は出来る事になってはいるんですが、慎重なリーチャーは検問や違反などで身許がバレるのを避けるために極力車には乗らないはずではなかったか…。

なんか原作の話しばかりになってしまいましたが、映画は本格的なハードボイルドとなっていて非常に面白いです。
雰囲気としては80年代のハードボイルドアクションぽいですね。
しかし…最初に犯人の正体が明かされる手法なので、ミステリー的な要素は低いと思います。

どちらかというとリーチャーが犯人側に迫っていく様を楽しむ映画かなと思います。
トム・クルーズさんは彼にしては「コラテラル」のように抑えた演技で流れ者の孤独な男を好演してます。
逆にヒロインを演じたロザムンド・パイクさんは大袈裟な演技で対比になっています。

悪役のスナイパー役の俳優も役にハマッていて良かったです。
どこかで見たなと思っていたら「ダイハード ラストデイ」でマクレーンの息子役を演じた人でしたね。
演出も男が好きなハードボイルド的な演出を分かっていて、有利な状況なのにタイマン勝負を挑んだりと男心を刺激します。

元陸軍の凄腕憲兵だった男を演じるトム・クルーズに厚みをもたせるための、細かい演出、例えば射撃のシーンで一連の流れで弾を詰め替えるシーンは効果的で役に深みを与えてます。
トム・クルーズさんはかなり練習したんだろうなと思いますね。
このような演出が非常に上手い監督さんですね。音楽も臨場感を誘うかんじで非常に良いです

ただ…個人的に気になる疑問点もあります…
それは、バーの弁護士であるヒロインが何故、あれほどリーチャーの仮説に反対するのか…。そして、警察に追われたリーチャーをなぜバス停の人々は彼を匿ってくれたのか?
個人的にはリーチャーの人柄の良さをバス停の人々が感じとったのかと思ってますが…。

ラストは余韻があって非常に好きです。
流れ者はバスに乗って現れ、バスに乗って帰るといった所でしょうか。
原作ファンとしては思うところもあるものの、映画化1昨目として非常に良く出来た作品と思います。
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