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キャリーのmagic227のネタバレレビュー・内容・結末

キャリー(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

実はかなり不安な気持ちで劇場に足を運びました。1976年に創られた前作はブライアン・デ・パルマの代表作にして映画史に残る傑作、まだ無名ながら才能溢れる俳優たちが、若さゆえの残酷さや切なさを瑞々しい演技でスクリーンに刻み込んだ青春映画としても秀逸な作品です。そんな偉大な前作を穢さないようなリメイクが果たして出来るのだろうか?
嬉しいことにそれは全くの杞憂でした。2013年の「キャリー」は新たな魅力を身に纏ってスクリーンに帰って来たのです。その一番の功績はやはりクロエ・グレース・モレッツという稀有な才能に依るところが大きいでしょう。新しいキャリーは前作のシシー・スペイセクに比べると若干前向きになり、精神的にも少し強くなりました。超能力も目的のために意識的に使います。感情をコントロール出来ず、爆発的に能力を解放した前作のキャリーとはかなり印象が異なるのです。前作ではキャリーに優しく接した先生が他の生徒と区別なく犠牲になったのに対して、今作ではキャリーに助けられています。その分、自分を苦しめた相手に対しては、より激しく徹底的に復讐します。その描写の迫力、圧倒的な超能力を発揮するクロエ・グレース・モレッツの鬼気迫る存在感が今作の最大の見所でしょう。
もちろん、キャリーが強くなった分、前作が持っていた「切なさ」や「やるせなさ」の成分は希薄にならざるを得ません。でも、それが2013年という今の時代にマッチしたキャリー、そしてクロエ・グレース・モレッツという天才女優の個性にあった新しいキャリーなのでしょう。前作と比べてどちらが優れているかという事では無く、そうしなければ今の時代に「キャリー」をリメイクする意味が無くなってしまいます。
ただ、ラストシーンのインパクトだけは前作に遠く及ばなかったのは、いたしかたないところかもしれません。
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