シックなヌードショーが売り!のパリにある歴史重ねたクレイジーホースに密着なドキュメンタリー。
舞台で繰り広げられる様々な演目やトップレス、ネイキッドなダンサーたちが行き交う楽屋風景には目を奪われる。演目の合間に彼女たちが楽しむのがクラシックダンスの舞台でのリフトが上がらなくて四苦八苦みたいなバレエ珍プレー集という場面からうかがえるように彼女たち自身の爪先立ちなんて当たり前なダンススキルの高さ。
そして、肢体は巨乳偏重がちな日本のグラビアシーンとは違った、いかにもダンサーな重力に自然と抗したしまった美乳ぶり。腰のしなり。つき出されたヒップから続く贅肉など無い見事な筋肉の存在を感じる太ももからふくらはぎとボディラインの美しさ。やはり、素直に目を奪われますな。
ドキュメンタリーで掘り下げというと有りがちな、幼い子を抱え、一人で育てながらみたいなダンサーそれぞれの家庭事情みたいなのは全面的に無し。
演じるのは群舞、ソロ、ペア。ポールダンスの要素や縄を使ったり、影絵でのボディライン強調あり。それを宇宙空間やら向き合う二体の野獣やらロープを伝う娘たちやらロンドンの儀仗兵みたいな帽子やベルトなどの装飾姿振る舞いだけどそれ以外は身につけてないやら、照明で水玉模様を彼女たちの身体にあたかも衣装のように映し出すやら、舞台として様々な趣向を凝らし、演出的な総合的な力も高い。
幕間には男性のタップダンスのデュオも登場(この辺はかつての浅草フランス座で修行したツービート、浅草キッドなど日本のストリップ界にも通じるものが有るよな)。
「演目一新のプレミアを株主らが要求するなら一度休業期間が必要だ、その間に照明磨きもせな」と芸術至上主義な総監督、ここに魅せられ、女性の美について持論を語り、カメラを向ける撮影スタッフの女性をうなずかせる舞台監督(眉無しスキンヘッドなその面持ちに映画「カサンドラ」を思い出したがそれはまた別の話)。ダンサーに衣装変更の理由をあの素材だとヒップラインが反射できれいに映らないし、耐久性がと理路整然と納得させる反面、「スタッフで製作会議定期的にやると言ってたけど全然無いですやん、そんならうちおろさせてもらうわ」とちゃんと主張する衣装チーフと現場のスタッフの衝突葛藤、ダンサーのオーディションシーンもカメラはさらりと露悪的にならぬまま、とらえる。
そんな肢体とダンススキルを兼ね備えた彼女たちながら、映画としては最後の演目のBGM、彼女たちら自身が唄うクレイジー娘の歌のゆる具合がまた、なんかたまらんのでした(爆)。