nattyan9

砂漠でサーモン・フィッシングのnattyan9のレビュー・感想・評価

2.5
              (2101)
 
うーん・・・
脚本が勿体ない。
 
監督も、演者も良いんだけど。
(「ギルバート・グレイプ」の)
ラッセ監督は、やっぱ、
呼吸(テンポ)がいいなぁ。
じっくりの所は、じっくりだし、
進む所は、どんどん進むし。
すごく役者を信頼してる感じがする。
描写も丁寧だし。
セリフなしで表現してる所が
随所にあって
それがすごく効いてる。
(想像を掻き立てる)
 
と思って調べたら、
スウェーデンの人だった。
やっぱり。
欧州の人は、描写が
丁寧でゆったりしてるんだよなぁ。
 
印象的だったセリフがいくつかあった。
 
「イギリス人は、いい所もあるが
 謎な所もある。
 富者は、貧者を恐れ、
 貧者は、富者を恐れている」
(階級社会、故に)
 
「私は、人に誇るためにダムを
 作るのではありません。
 言うならば、神のためです。
 その違いが、分かりますか?
 人に誇るために作るのは、
 傲慢だからです」
 
「イスラム教もキリスト教も
 無宗教も
 釣りの前では、みな”平等”だ」
 
 
 
 
 
 
ps.
脚本について。
原作ものの場合は、難しいんだろうなぁ。
主人公が巻き込まれ系の場合、
(主人公に主体的な目的が無い)
主人公が面白くないと、
ちょっと厳しくなる気がする。
例えば、配役、ウディ・アレンとかの方が
面白かったかも。
まー、面白くなければいけない
ってことは、ないんだけど。
 
でも、この脚本の場合、
”釣りの環境を作る”
ってことが、
理論上、早々に達成されてしまうので、
(物語の障害(敵)が無くなってしまうので)
感情移入が続きにくい感じがした。
 
なので、
違う言い方をすれば、
主人公の設定を
お金が必要な人などにしとけば、
イスラムの人が障害になってくるので、
ラストにいい感じで
つながってくるかなぁと思った。
(”お金だけが大事なものではない”
 という風に)
 
 
ps.(余談)
宗教って言えば、
日本って
無宗教が多数派だから、
信教の自由がある、
って思われがちだけど、
 
意外と逆に、(宗教に限らず)
”少数派に偏見を持つ”ので、
信教の自由っていう基本的人権は
ないんだよなぁ、と思った。
 
つまり、
違う言い方をすると、
欧米には、ある種、
個人の尊重があるので、
例えば、欧米で
”私は、仏教徒です”
と言った所で、
”ああ、そうなんですね”
で済むけど、
 
例えば、日本で、
”私は、イスラム教徒です”
って言うと、
変な空気になるのは、
問題だよなぁ、
不寛容だよなぁと思った。
 
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