たかあき

舟を編むのたかあきのレビュー・感想・評価

舟を編む(2013年製作の映画)
4.0
原作未読。じんわりと余韻に浸れる作品。淡々粛々と進むストーリー。簡単に言えば「辞書を作る」という話だが、完成までに15年もかかるまさに一大プロジェクト。
ひたむきに仕事に取り組む彼らの姿に心を打たれます。何気ないシーンがお気に入り。社会人なら誰もが経験するであろう、仕事終わりに上司、先輩集めての飲み会。けだるい会議。追われる納期。トラブル。顧客との打ち合わせ。節目の宴会。

"マジメ"とあだ名を付けられるほど真面目な光也。そんな光也も年が経つにつれ恋をし、仕事人として成長し、周りとの人間関係が深まっていく様は観ていて感動した。"恋"とは何かについての語釈の演出が個人的に良かった。

RADWIMPSの野田洋次郎さんが「辞書にある言葉で 出来上がった世界を憎んだ」と歌詞で表現していましたが、この作品を観て、この世の物事を全て言葉で表現出来てしまう人間の能力の高さに改めて気づきました。

そういえば最近はめっきり紙辞書は使わなくなってしまったなあ。松本先生、良かったです。
たかあき

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