あさひ

教授とわたし、そして映画のあさひのレビュー・感想・評価

教授とわたし、そして映画(2010年製作の映画)
5.0
再鑑賞してみたが、ホン・サンスは多分これが1番好き。
『正しい日、間違えた日』以降のキム・ミニとタッグを組んでいる作品の方がズームも物語としての構造も反復と差異も全て上手くいっているように感じるけど、この作品にはそれらを凌駕するぐらい、幾つも魅力がある。

まずタコを吐き捨てるシーン。最高に笑えて、最高に哀しくなる。教師に向いてない!とオッキとの関係も含めて開き直った、その後にオッキの映画を持ってくる辺りも確信犯的で非常に上手い。
最後に入子構造のオッキの映画を入れてくることで、映画そのものの見方をガラリと変えてくれる。
それまでもいつものホン・サンスらしい、反復と差異を用いたダメダメで自分のことは棚に上げてベラベラ喋る愛おしい会話劇が繰り広げられていたが、それすらもオッキの映画だったのかもしれないと思うと、一気に複雑な話になってくる。
じゃあ、もしこの映画そのものがオッキの映画だったとしたら大雪の日の講義のシーンの意地悪さは何?もしかして、嫉妬して欲しかったのか?だとしたらそれが上手くいかなかったことを後悔して、それすらも映画に落とし込んだのだろうか?
第一部の情けないジングの姿はどういうことなのだろう?

単調だったはずの物語に無限の可能性を生み出してしまう、まさに映画のマジックとしか言いようのない仕掛けと遊び心、そしていつものホン・サンス節を堪能できた。

あと、チョン・ユミの自然体な可愛さは何なんだ。あんな可愛く描けるの、絶対監督チョン・ユミのこと好きになって狙ってただろとしか思えない笑
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