℃-uteメンバーの矢島舞美が、戦うヒロインを体当たりで演じたホラー・コメディ。ゾンビ発生時の対処法を説いたビデオを発見した主人公たちが、突如出現したゾンビの群れを相手に血みどろのサバイバルを繰り広げる。
ビルの中に閉じ込められてしまったバイトのまいみぃーと、ゾンビ映画オタクの先輩と、オネエの社長。愉快な仲間たちが必死にゾンビに立ち向かう姿は、実に活き活きとしていてキャラクターに好感が持てる。低予算のホラー・コメディにありがちな、その場その場で一発ギャグを重ねすぎて登場人物たちが真剣に生き残ろうとしていないようにみえてくることはなく、軽めのドラマとしてもちゃんと成り立っている佳作だと思う。アクション、スプラッタ、コメディのバランスが良い。
案の定というか、アイドルを血糊で濡らすということが目的の映画なので、設定はユルいし、ストーリーは適当。だが、主人公たちがゾンビ軍団を迎え撃つことを決意し、ゾンビに遭遇した際の対処法マニュアルを参考にしてそれらを撃退するシーンは大傑作。ビデオの内容がちゃんと役に立っているのをひとつひとつ丁寧にみせるのがおもしろいし、意外な日用品を武器に改造するというくだらないことを、出し惜しみ無く真剣にやって見せてくれる。
ゾンビを迎え入れる部屋は、セットの床や壁が汚れないようにビニールを敷いてあって、これからここで大血しぶき祭りが始まるのだろうと期待させるが、ここで作り手のサービス精神が大爆発していて、これまでのチープさに見合わない予想を超えた過剰な野蛮さと、アイドルのキュートさを画面いっぱいにみせて楽しませてくれた。血糊の飛び散り具合はTDLの夏季パレード並だ。とにかく景気がいい。
主人公まいみぃーは、事件が起こる前はちゃらちゃらしたイマドキ娘だったのに、『エイリアン』のシガニー・ウィーバーばりに強く逞しくなっていく！身に着けたタンクトップとホットパンツが敵の返り血で赤く染まってゆくのに比して、キリっとした顔つきの戦う女になっていくのが微笑ましい！
掘り出し物感のあったお気に入りのゾンビ映画のひとつだ。
