りほこ

アルバート氏の人生のりほこのレビュー・感想・評価

アルバート氏の人生(2011年製作の映画)
4.3
ミスターノッブス
女性1人で生きるのが困難だった時代、
誰にも秘密で"男性"として
生きざるを得ない彼女の顔は、常に落ち着いていてどこか寂しそう。

自分と同じ人を見つけた時の顔、
驚きと喜びと共感。
また女性もののドレスを14歳ぶりに着て、浜辺を走る晴れやかさ。
外を出るのに、常に怯え、
偽りの自分でないと胸を張って歩けないもどかしさと現実。
この映画ほどキャストの"顔"を注視した映画はなかったなぁ。


誰にも言えずに本当の自分を隠す彼女は、
自分を隠さなければいけない現代の私達にも似ているのでは。
ダイバーシティー社会と言っても、
人と同じことを求められ、
またコミュニティーによっては個性を求められる。誰でも受け入れられる社会なんて存在しないと思ってしまう。
隠すことは、
社会のためでなくて、自分のためであることは共通しているはず。自分を社会の一部である、はみ出し者にならない為のツール。自分からはみ出ようとする人ほど、社会へ戻りたがるし、本当の自分が受け入れられない人は違う自分で社会に溶け込もうとする。めんどくさい世の中だよね。
でもこの社会から抜け出すことなんて、きっと不可能。

グレンクローズさんの演技と情熱に拍手!!この年はメリル・ストリープがとってしまったみたいだけど、素晴らしい女優さんはたくさんいるんだなぁ。
りほこ

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