Omizu

塀の中のジュリアス・シーザーのOmizuのレビュー・感想・評価

3.5
【第62回ベルリン映画祭 金熊賞】
『父 パードレ・パドローネ』タヴィアーニ兄弟監督作品。シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」を演じる囚人たちを描いている。

ブルータルを演じたサルバトーレ・ストリアノは本当に刑務所に収容されていた人物で、マッテオ・ガローネ『ゴモラ』で映画デビュー、最近では『ノスタルジア』にも出演していたという。

うーん、物足りない。本作の受賞は大番狂わせと言われ、マイク・リー率いる審査委員は「保守的だ」と批判された。確かに設定以上のものがあまりない映画だった。なにより『父 パードレ・パドローネ』『グッドモーニング・バビロン!』が大好きだった自分からすると期待外れかな。

設定の時点でもう勝っているのは間違いない。囚人がシェイクスピアの戯曲を演じるというあらすじでもう面白そう。

実際面白いのは面白いのだが、期待以上のものはなかったかな。最初の時点で戯曲と現実が混濁していくという展開は予想できるものだったので・・・

役者の熱演は素晴らしいし、白黒とカラーを使い分ける撮影もいい。ただ、脚本が物足りない。この設定ならもう少し深く描いてもいいのでは。短いのはいいけど。

普通に面白かったけど、上がりきったハードルを越えてはくれなかったかなぁ。
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