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the Future ザ・フューチャーのsheepのレビュー・感想・評価

the Future ザ・フューチャー(2011年製作の映画)
3.4
いまよりもっといい未来をつくろうと、30代を半ばにして内なる声に耳を傾けようとする二人の話。動物シェルターへ行き、余命わずかの猫を1ヶ月後にひきとる約束をすると、彼女たちは自宅に戻ると床に座りほんとうは何がしたいのかを考えはじめ、まずは生活を成り立たせるためだけの仕事を辞める。彼女はダンスの動画配信を、彼はどこかからきっかけをもらうため、なんとなく環境保護関係のボランティアを始める。だれしも経験があると思う、ダイエットや語学の勉強でもいい。「とりあえずやってみよう」と始めたことを、彼女のように諦めることが。

それを積み重ねた人間はどうなるか、なかなか意思を持てず自分を信じることが難しくなり、偶然に頼るようになるのだ。その様はまるで私の人生のようだった。木になろうとした少女が寒くて湯船に浸かるシーンは、夢から現実を思い知ってしまう過程がぎゅうと凝縮されていて胸に詰まるものがあった。あの子のように、がくがくと震えてこちらにすがるようにすることだってある。

それを育てることができない不器用な男女の話だった。
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