こさむ

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のこさむのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

動物園を経営する父に育てられたピシン・モリトール・パテル。通称パイ。
彼は虎であるリチャードパーカーに餌付けしようとするが、
その様子を父に見られ、目の前で虎の狩りを見せられるという過激な教えを受けたことで人生の輝きを見失う。
引っ越しのため家族と新天地へ向かうパイだが、乗っていた貨物船が沈没。
数匹の動物とボートに乗り合わせ、漂流生活を送ることになる。
パイとリチャードパーカーは同じボートの上で共存する。
トラブルを乗り越えながらも生還した彼は、取材で訪れたジャーナリストに自身の体験を語る。

動物たちのリアルな動きに見惚れる。
単純なトラとの共存サバイバルを描いたファンタジーかと思っていたけど、ラストのパイの告白で見え方が一変する。

ボートの上で起こった真実。
バナナは水に浮かない。
人間同士の争い。干物にされて食われる同乗者。
一線を超える者たち。パイの内に潜む獣。
夜になると生き物を溶かして吸収してする肉食の島。
そこで暮らすミーアキャット達は近くで見ると可愛らしいが、遠くで大群がうごめいてるのをみるとウジやハエのようにも見える。
パイは自分が体験した生活を、美しく神秘的な話に書き換えて話していた。

真相はとても残酷で恐ろしい話だが、それでも映像が美しいことには変わらない。
というか直接的に描かれるよりもエグく感じる。
残酷な真実よりも、虎との神秘的な生活を信じてくれた記者。

記者の優しさ、映像美と残酷さのギャップ、過酷な状況下で愚かな行動をとるしかなかった人間たちの切なさ。
複雑な気持ちになる。たまらなく好き。

ただ、ちょっと長く感じる。途中の恋愛の話には必要性を感じなかった
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