Ryo

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のRyoのレビュー・感想・評価

4.1
「なぜ人は物語を必要とするのか」


宗教、芸術的要素の含んだ深いエンターテイメント作品。CGの使いすぎやツッコミどころ、ありえないシーンなど多用されてるが全てに意味がある。

そしてビッグフィッシュとテーマがかなり似ている。

ーなぜ人は物語を必要とするのかー
それはこの世で起きる事はあまりにも残酷で信じがたい。だから物語にして受け継がれる。
この映画でCGやありえないシーンをやったのも主人公の頭の中の物語だからだ。これを信じるか信じないかがこの映画のテーマでもある。

ーリチャードパーカーー
これはある小説の中、その後現実でも起きた人に食われた男の名前です。漂流し食料が尽きた他の船員はくじでリチャードパーカーを殺し食うことになりました。
その為このリチャードパーカーに気づくと映画序盤でただの漂流物じゃないと気づくはず。

ートラである意味ー
主人公がトラである理由は人間の中にある暴力性や怒り。ラスト、トラと別れるシーンで主人公は悲しくなる。これは怒りや暴力性を否定してるのではなく人間に必要な要素なんだと暗示しています。トラを助けたのもこの暴力性の重要さが関係している。

ータイトルの意味ー
227日間なのになぜライフオブパイ なのか。漂流を通し様々なことを経験したパイは人間の暴力性を知り必要だということも学んだ。さらにπ円周率が表すものは人間は悪や善で割り切れない答えがないということを表しています。

ー人喰島ー
人食い島は漂流の最も苦しい時に現れて救ってくれた(生きる希望が途絶えた時、彼は休息をくれたと言っている)ので、宗教を表してるのではないかと思います。しかし一つの宗教を信じ頼りすぎると侵食され人格を食われてしまうことを暗示してるのだと思います。
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