ペイン

マーサ、あるいはマーシー・メイのペインのレビュー・感想・評価

4.0
エリザベス・オルセンの鮮烈なデビュー作で、S・クレイグ・ザラーがブログで“過小評価されている作品の1つ”に挙げていた1本。

絶品とまでは言わぬまでも、たしかに秀作。

傑作量産会社フォックス・サーチライト・ピクチャーズ製作で、所謂アメリカ産スリラー映画的なパッケージングがなされているが、良い意味でそれを逆手に取ったような、観客が安易に消費しづらい作家性の強く刻まれた神経質な作品となっている。

あるカルト教団のコミューンから逃走を図った主人公(エリザベス・オルセン)が、そこでの異様な体験を思い出すうちに妄想と現実の間をさまよい錯乱していく姿を見つめる本作は、『ローズマリーの赤ちゃん』や『反撥』といったロマン・ポランスキーの一連のニューロティックホラー作品や、カルト教団を題材にしていることから同年公開作の『ザ・マスター』にも通ずるものがある。

ムチムチなボディを惜し気もなく披露する“エリザベス・オルセン力(りょく)”でもって持っている作品とも言えるが、監督の説明的な描写を避けた張り詰めた緊迫演出も素晴らしい。
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