Itotty

ザ・マスターのItottyのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.6
たとえば、恋人という関係がある。
時に恋に落ちて相手が人生の全てと思い、最後まで愛を貫く者もあれば、やがてその関係性に慣れて惰性に陥ることも。
幾億千の恋愛模様が世界にあったとしても、その根幹はある程度共感できるところがある気がする。

たとえば、親子という関係もそうだ。
幾億通りの親子がいても、なんとか想像はついてしまう気がする。


では、たとえば、2人の男がいたとする。
ひとりは、戦争を経て心に傷を抱え、アルコール依存症で心身共に不安定な男。
ひとりは、超科学的な理論を説き明かし、信者を多数抱える新興宗教の教祖。
たとえば、この2人がなんらかのきっかけで出会った場合、この2人にはどんな関係が生まれるのだろう。

この映画は、そんな想像もつかない2人の関係性を描き、答えを出しているようにも見えるし、何も示さず突き放しているようにも見える。
確かにそこには何らかの関係が存在していた。近づけば強く、離れれば遠ざかるような、万有引力のような関係性。不思議な魅力のある関係性。

わたしにはそれを言語化できるほど、理解はできなかった。
けれど、その2人から生まれた絶妙な心地よさは、ちゃんと感じることはできたと思う。

人と人が作り出す関係、化学反応は、やっぱり奥深いものだ。
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