大一

フライトの大一のレビュー・感想・評価

フライト(2012年製作の映画)
3.7
ドラッグと酒について考えさせられる。

英雄とは何か。

本作は飛行機墜落事故という1つの側面からアメリカにおけるドラッグと酒の問題について投げかけている作品である。
本作の主役であるデンゼル・ワシントン演じるウィップ機長は奇跡的に機体を不時着させ、ほとんどの乗客を助けるが、乗務中にアルコールとコカインを摂取していたことが問題になり、航空組合存続のためにもその事実を弁護士を雇い、なかったことにしようとする。
本人も事故当初は恋人の死などを受け飲酒を止めようとするが、その後の受け止め難い世間による自分への重い責任から彼を飲酒へと向かわせる。そんなウィップと出会うのはニコールである。
彼女は同じくアルコール依存症でありながらドラッグにも手を出しており、摂取危険な薬物投与を行いウィップと同じ病院で出会う。ひょんな事で出会った2人はその後の生活を共にしニコールはウィップとの出会いから健全な道を歩もうと決意するが反対にウィップは更なるアルコール依存の道へと陥ってしまう。

最終的に公聴会の場で嘘を突き通せば、ウィップは問題にならないという状況で彼が下した決断の重みがすごい。

重たく軽視できないテーマを持ちながらシリアスになりすぎずに要所要所で軽快なシーンや音楽を挟み全体として固くなりすぎない構成でしっかりと見ることができた。デンゼルワシントンの酔った演技がすごく、いるいるこういう酔っ払い。とつい思ってしまったり、何かにつけてジュースで割ったり酒を隠し飲む姿はフィクションでありながら心配になってしまう。

後半は彼の人間性との葛藤が描かれるが前半部分における飛行機墜落シーンもすごい。機体の回転や気流によって機内がパニックになるシーンはとてもリアルだった。
大一

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