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ふがいない僕は空を見たのamokのレビュー・感想・評価

ふがいない僕は空を見た(2012年製作の映画)
3.7
今の僕に足りないのは刺激だ!
ということで観ました。

原作は、窪美澄。
第24回山本周五郎賞受賞作。
当時ふがいなかった僕は、大橋愛さんの印象的な写真の装丁とタイトルに惹かれ読みました。

原作を読んだのがだいぶ前、しかも、活字で体験する僕の知らない世界。
だから…
アニメコスで情事を重ねる主婦と高校生という、刺激的な話だったということしか覚えていませんでした。

なので、桃色の世界を求め軽い気持ちで足を踏み入れたのです。

冒頭から始まる桃色。
「ムラマサ様、イキます…」
確かにそこには、刺激的な世界が広がっていました。
しかし、この映画それ以上に重い。

なんせ登場人物が、
-コスプレ情事の写真を学校中にばら撒かれた高校生。
-旦那は頼りにならない、姑からは執拗なまでに孫をせがまれる不妊症の主婦。
-母親は借金と痴呆のおばあちゃんを残して家を出て、日々の暮らしもままならない団地暮らしの高校生。
-自らの児童性愛思考に苦悩し、罪の意識から必要以上に善行しようとする大学生。
-自然分娩の産婦人科を自宅で営み、命と向き合い続ける母親。

重すぎる悩みを抱える人々の、重すぎるドラマが僕の心に重くのしかかる。

なぜ、生存本能による欲望は汚いものとして他人の嫌悪感や軽蔑の対象となるのだろう?

誰だって持っているものだし、誰だってすることだけれど…
ある時は、美しく素晴らしいものとして描かれ、ある時は、ひどく汚いものとして描かれる。
それは、倫理観と関係しているのだけれど、そこの線引きも難しい所はある。

そんな人の業が招く、生きづらさをもろに受けた人々のドラマは、心にズシリとくる。

だからこそ、それを受け入れ乗り越えようとする姿は心の深い所に響いてくるのです。
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