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テッドのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

テッド(2012年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

1985年のクリスマス・イヴ。ボストン郊外に住むジョン・ベネット少年はサンタに「一人でいいから親友がほしい」と祈る。翌朝プレゼントでもらったテディベアにテッドと名付けてかわいがり、さらに命が宿るように祈ると、なんとそれが叶う。以後、ジョンは命を吹き込まれたテッドと親友となり共に暮らし成長していった…。

子どもの祈りの強さとアパッチヘリを比べる下らない冒頭から大爆笑。
開始5分だけなら可愛らしいお伽話で終わるのだが、本番はそこから。
月日は流れてジョンは35歳になり、彼女との結婚を考えるように。
テッドは見た目はそのままだが、中身はすっかりオッサンに。
「あまりにも下品」という巷の情報からスルーしていたため、今更ながら初鑑賞。
このテッドの見た目と可愛らしさと、やることなすこと全て下品というオッサン具合のギャップに大笑いしてしまうコメディの怪作である。

かつて「生きているぬいぐるみ」としてマスコミに取り上げられ、一世を風靡したテッド。
しかし、年と共にテッドは落ちぶれ、酒と女とマリファナ漬けの日々を送っていた。
まるで、どこぞの子役スターの転落話みたいである。

一方、ジョンは恋人ロリーがいるにも関わらず、休日にはテッドと共にマリファナを回し飲みし、子供の頃のように「フラッシュ・ゴードン」のビデオを見ては一日中ダラダラと過ごすだらしなさ。
しかも、雷が鳴るとテッドが一緒じゃないと眠れない精神的に物凄いガキ。

良く「少年っぽさを持っている人が好き」なんて言う女性がいるけれども、見た目は大人で心は子どもなんて、名探偵コナンの逆のような男は、現実問題として結婚の対象になるはずもない。

何とかして欲しいとロリーが悩んでいる矢先、ジョンとロリーが食事を終えて帰ると、売春婦を呼んで乱痴気騒ぎをしているテッドについにロリーの怒りが大爆発。
床の上にクソがある状況って…アメリカのパリピの下品な乱れっぷり恐るべし。

ロリーは「私かテッドのどちらかを選べ」とジョンに迫り、テッドは家を出て自立せざるを得なくなる。
ぬいぐるみの丸っこい手でスーパーのレジが出来るというのもギャグだが、同僚をナンパして倉庫でセックスするなんて、これまた下品極まりない。

いざ離れて暮らしてもテッドから誘われると会社をズル休みしてしまうジョンは、全く懲りていない。
数日後、上司のパーティーに招待されたロリーとジョン。
テッドからまたしても遊びに誘われ、今度こそ断ろうとするが、憧れの「フラッシュ・ゴードン」俳優がいると聞き、ジョンは飛んで行く。
楽しんだジョンが我に返った頃にはパーティーを抜け出したことがバレ、ロリーは怒り心頭。
ロリーもスケベ上司に口説かれるわ、あんな男と付き合ってるのか?と馬鹿にされるわ、「ホント男っていつまでも子どもね」と余裕かまして笑ってられない状況に。

言い訳をするもロリーから別れを告げられたジョンは、責任をテッドになすりつけ、2人は殴り合いの喧嘩を始める。
ぬいぐるみのくせに、マッチョなジョンを圧倒するテッドにまた爆笑。

喧嘩の末、和解したテッドはジョンとロリーのよりを戻す方法を考える。
テッドはロリーに会って謝罪し、ジョンにもう一度チャンスを与えてほしいと頼むが、その直後一人でいたテッドは、以前からテッドを我が物にしたがっていたマニアックなファンのドニーによって誘拐されてしまう。
監禁された部屋から脱出を試みて、ジョンに電話するテッド。
だがドニーに見つかり、逃亡する寸前に駆けつけたジョンとロリーはボストンの街を大追跡。
その果てに身体を引っ張られ、テッドは真っ二つにされてしまう。

テッドと体から散らばった綿を持ち帰ったジョンとローリーは、急いで体を縫い合わせるもテッドは生き返らず意気消沈。
その晩ローリーはジョンが小さいころにやったのと同じように星に祈りを捧げると翌朝テッドが奇跡的に生き返る。
その後、ジョンとローリーは結婚し、3人でずっと幸せに暮らすのだった…。

まぁ、確かにギャグは下ネタばかりだが、良い年こいて猥談や下らないことに全力投球というのは万国共通で男のサガみたいなもの。
当然、ターゲットとなる観客は男性だ。
卑猥な放送禁止用語連発のぶっ飛びぶりに、イケイケどんどんやれと序盤は盛り上がる。
(可愛いクマの姿に釣られて映画館に見に来た女性は、相当ビックリしただろうなぁ)

しかし、その勢いは中盤から失速。
映画版「フラッシュ・ゴードン」のネタは強烈だが、パーティーとマリファナ三昧のダメっぷりばかりでは流石に飽きてくるのが難点。

要するに本作は、普通の女性なら「結婚を控えて、いつまで馬鹿やってんのよ」と怒り出しそうな小ネタの積み重ね。
向こうの文化で言うバチェラー・パーティー(独身最後の馬鹿騒ぎ)を延々と見せられている感じだ。

それを女性に「男って馬鹿で可愛い」と言って欲しくて、「脳筋マッチョ」と「ぬいぐるみ」というオブラートに包んでみました…という感じの演出が妙にあざとい。

一応、美しい友情という美徳はあれども、決して夢見る子供たちには見せられない、きついブラックジョークたっぷりの作品。
大人になりきれないオッサンが「俺もそうだ」とビール片手にオッサンたちの馬鹿っぷりを自虐的に笑うというのが正しい鑑賞方法だろう。

関係ないけど、向こうのスラングやギャグを日本語に訳すという苦労は重々分かっているつもりだけれども、「星一徹」という和訳をアメリカ人に被せるのってどうなの?

そんなこんなも含めて、結論として本作はダメダメなオッサンを笑う映画である。
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