TaiRa

やくたたずのTaiRaのレビュー・感想・評価

やくたたず(2010年製作の映画)
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なんか初めてジャームッシュ観た時の事とか思い出した。雪原と学ランのコントラストが泣ける。

三宅唱が描きたいのは「あいつらが居たあの場所」の共有であって物語やテーマにはないってのがこの頃から一貫してるし、その指向は近作で完成されてるのも分かる。モノクロの映像で白飛びした雪原、真っ黒の学ラン着た男たちがチャリンコ乗って走り回ったり、トラックの荷台に飛び乗ったり、乗り遅れて追っかけたり。大人たちの疲れ具合も渋くてキャッキャとふざけ合ってる高校生との差が切ない。思い出の記念写真を眺める大人たち。新しい記念写真は撮影失敗しちゃうのが間抜けでやはり切ない。大人になった青年たちが写真を眺めて懐かしむ事はないのだろう。カメラをパンさせてワンカット内で展開させる工夫が多い。逆に短いカット重ねて時間を意識させる編集とかも効果的にやってる。女が保育園にあずけてる娘に一目だけ会う場面とか。アップとロングの組み合わせとかも色々試行錯誤してるのが分かって面白い。話がない割にシンプルって訳でもないややこしさとかあるけど、その辺は若さかな。三宅唱って俳優(今作を観たムラジュンね)に見出されたっての大きい気がしてきた。
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