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藁の楯のmatchypotterのレビュー・感想・評価

藁の楯(2013年製作の映画)
3.5
原作は読んだことないけど、原作面白そう、観たい。
たぶん、原作はもっともっとエグくて業の深いドラマがありそう。

少女暴行殺人犯、藤原竜也。
しかも、1度罪を犯し服役し、出所したと思ったらまた再犯。
それが、マスコミに顔が効く祖父を持つ少女を手にかけてしまったものだから、その祖父の逆鱗に触れ、祖父が力を駆使してとんでもない報復声明を発表する。

「この男を殺してくれたら10億円差し上げます。」

その藤原竜也の護送を頼まれた警護課の大沢たかおと松嶋菜々子。彼を無事に護送できるか、その道中を描く作品。

倫理的にその範疇を越え社会的に賛否両論日本全土を賑わす事件へと発展し、恐ろしい騒ぎと化す護送。

しかし、圧倒的なその“要求”に目が眩み、次から次へと襲い掛かる、人、人、人。
もはや、信じられる人もおらず、次から次へと人が死んでいく。

護送を共にする仲間ですら信じられず、協力を要請する公共機関も、そこで働く人も信じられない。
実際、どこで誰が何をして、彼を殺害しようと企んでいるかわからない。

普段はそんなことしない人道的な職業の人ですら、、、。
むしろ、日々武器を携帯し訓練を重ねている護送を手伝う警察官や機動隊、彼を介抱する医者など、素人ではない経験値があるプロの人の方が危ない。

しかし、大々的におおっぴらに命を狙われる人物の護送である以上、慎重を期し、守りを厚くすればするほど、彼の身を守る2人の心労が絶えなくなる。

この次々襲い掛かる脅威に抵抗しながらあの手この手で目的地に近づこうとするストーリーは面白い。

その一方で、大沢たかおの過去にもイチモツがあったり、護送仲間にもキャラが立った人物が多数存在し、抵抗しながら前に進みつつも、「どうしてこんなヤツを守らねば」というジレンマや裏切り、摩擦とも戦う。

外敵から守りながら、内敵も数多く、何なら自らの葛藤や、倫理観という自問自答も入ってくる。

それらと一生懸命向き合ってても、護送対象は相変わらずサイコパス。
感謝の念があるわけでもなく、護送だからといってしおらしくおとなしくしているわけでもなく。

何もかもが逆風の中、表向きは「任務は任務」と言いつつ、どこか割り切れない思いもある。
だからこそ、スキもある。

本音と建前が錯綜しまくりながら、容赦ない雨嵐の中、日本全土を巻き込んだ大護送劇。

結構畳み掛ける展開だからテンポは良い。
でもきっとそれは“詰め込んでる”からな気もしないでもない。

それはそういうものだと思って楽しめたが、2時間の映画でこの展開なのだから、原作はきっともっと濃厚で破壊力があるのではと思えてならない、、、気になる。

やっぱり、咆哮する藤原のたっちゃん、最強説。『インシテミル』から2連続、さすがとしか言いようがない。
そして、それらに抗いながら自問自答を繰り返すキャラの大沢たかおまた十八番な役でハマってた。

護送仲間の松嶋菜々子と、岸谷五朗と、伊武雅刀と、永山絢斗。こいつらもそれぞれ強かでしっかりしたキャラと背景があって、このめちゃくちゃな設定の中で存在感があって良かった。


F:1966
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