美月mizuki

藁の楯の美月mizukiのネタバレレビュー・内容・結末

藁の楯(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

とても考えさせられる話だった。
というのも、この作品が、多額の懸賞金が狂気的な殺人鬼にかけられている状況を、人間は幸ととるか不幸ととるか、その本心に迫ったものであるからだと思う。

無論、 人殺しはいけないこと 誰もが分かっているのに 引き換えに自分の貧弱な生活が打って変わるのであれば、大事な人を救うことができるのであれば、その相手が社会的に排除されるべきとされる人間であるのならば、我々は果たしてこの状態に対する心持ちを絶対的に怯ませないと言えるだろうか。

前記のように、誰もがもつ極限状態における軽さや欲深さを痛感させられた。

しかしこのような、いわば人間らしいこれらの感情は阻止せねばならないのか、何を感じ何を行うことが正しいのか。

答えを出すことは容易でないし、出す必要なんてないのかもしれない。が、この作品を観たのだし、少しばかり自分の中で考えてみようと思う。

さて、ここでは戻って映画の感想なのだが、1つ疑問に感じたのは清丸と清丸の母との関係だ。残虐な犯罪を繰り返す反面で母を心配する設定はわからんでもないが、心配する感情があるのであるなら元よりこのような犯罪を自ら阻止できないのか。前に一度捕まっているのだから、母親はなぜその時止めなかったのか。母を想う姿から、少なくとも良好な関係であったと思われるが、その中でどうして犯罪に手を染めるようになったのか。
わざとらしく描く必要は無いと思うが、俳優陣の演技でそれを示唆させた方が奥深い映画になったと思う。

そうはいっても、この作品のテーマが半永久的に我々に問うものであるのは確かだ。
是非観て頂きたい。
美月mizuki

美月mizuki