しましま

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのしましまのレビュー・感想・評価

4.4
核兵器保有の危うさ、愚かさを徹底的に皮肉ったブラックユーモア(今のご時世ではもはや全く笑えないが)満載の怪作。ひっっっさしぶりに観たけど、やはりキューブリック作品では一番好きな映画。
シン・ゴジラの後に見ると尚更面白い。

恐ろしくどうしようもない展開なのにストーリーは淡々と進み、登場人物も妙に冷静だったり。色々と紙一重なストレンジラヴ博士のキャラクターも実に魅力的。

オープニングテロップの「この作品で描かれているような事故は、絶対に起こりえないと合衆国空軍が保証します」という言葉の説得力のなさに心底ゾッとする。公開から50年以上が経った今、原発の安全神話は崩壊し、核兵器根絶すらままならず、某国では核実験が公然と行われるという現代をキューブリックが存命だったらどう見たのだろうか。