かのん

故郷よのかのんのネタバレレビュー・内容・結末

故郷よ(2011年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

大学の授業で視聴

 チェルノブイリ発電所の事故と、その麓の街プレピャチに住む人々の視点から、突然の事故から10年、故郷を捨てられずに今を生きる人々の暮らしが描かれる。

 冒頭から、プレピャチの人々の穏やかな日常とは対照的に、画面の端に映るレーニン原子力発電所が映画に不穏な雰囲気を漂わせている。
 夜中の静かな爆発音のあるシーンと、どこかへ逃げて行く動物達とは対照的に、人々の幸せな生活が何事もないように続けられていることが、却って、放射線の魔の手が人々に降りかかりつつあることを切実に意識させていた。

 最後のヴァレリーの詩の「僕の生まれ故郷はもうない でも僕の木よ 僕はもう知った 君に名があると」は、冒頭でヴァレリーの父が「木に名前はない 私たちのものではないからだ」と言っていたこととは逆のことで、うまく表現できないが、ヴァレリーが木に名があると感じられたことと、僕の生まれ故郷はもうない、と理解したことは、同じ意味であるような気がした。
かのん

かのん