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ゼロ・ダーク・サーティのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
4.2
深夜0時30分ーーーーアメリカの本気、女性の本気。
"I am the Motherfucker who found the place. Sir."「屋敷を見つけたクソッタレです」
ピンと張られた緊張の糸が紡ぐ心理的迫力に唖然愕然で、全体的に尋常じゃなく格好良い。ビゲローが体現する強い女性像をチャステインが更に体現して(サラ・コナーか監督キャスリン・ビゲロー自身に見えてくるくらい)、その結果彼女のそれからのキャリア自身がそういう方向に傾くほどの影響を与えた。「強い女性」と言うけれど実際には女性は皆強いのだと感じた、いざとなれば男性よりも。ただ涙を堪えて一件落着した先にはきっと溢れ出すものがあって。。実際チャステインはどれほど強そうなオーラを纏っても、男性陣の中に立つと背丈があるわけではない、むしろ小柄な印象。超絶社会派でありながら同時に下らない男根社会への挑戦状、決して男性性そのものを批判するわけじゃないけど。実際、本作でも一部の野郎どもは大活躍。ジェンダーへの反骨ではなく調和。100% he's there.
All cowards.
何より先ず面白い、同コンビ(監督ビゲロー×脚本マーク・ボール)のハートロッカーより!冒頭の尋問シーンからグッと引き込まれて、尺の割にあっという間。準備だけじゃなくて後始末まで事の詳細・成り行きが丹念に描かれていてアッと驚かされる・目を見張る。だからこそ見終わっても気分が晴れるとかそういうことはない、ただそこには束の間の静かなカタルシスと現代社会への警鐘と危機感。テロは続いている。これがリアルな作戦なのだと思う、もしくはそれにかなり近いもの。"綿密なリサーチ"とはこのこと、その時点で脚本の半分はできたようなもの?素晴らしい演出(記録映画的)、素晴らしい脚本(インテリ、頭キッレ切れで大人なユーモアも忘れない)、そして素晴らしい演技(熱量!皆吠えるぶつかり合い)。本作の演技で絶賛されたチャステイン姐さんはもちろんのことジェイソン・クラークも髪を生やしたマーク・ストロングも。ジョエル・エドガートンばかりかクリス・プラットまで出てきて驚いた。最後の突入シーンはRecやゲームのバイオハザードで流行りのPOV的で巧みな見せ方だった(暗闇で見にくいのに少し難点だけどその分リアル)。エゴと良心、決断と責任。この物語を伝える上で、これ以上の作品はなかなか望めないと思う。ただ、作中何年も時が経つのでキーになる一つの時代に一つずつ場面がトントンコラージュされているようにもなっており、そこは薄味な印象を本作に少なからず付ける要因。
THE CANARRIES May 1st, 2011
TOMATOMETER92%、AUDIENCE80%
Gripping, suspenseful, and brilliantly crafted, Zero Dark Thirtydramatizes the hunt for Osama bin Laden with intelligence and an eye for detail.
勝手に関連作『HOMELAND』『グリーンゾーン』『ワールド・オブ・ライズ』『女神の見えざる手』『ボーダーライン』

いつかレンタルして寝落ちしたまんま放置していた本作を『デトロイト』への気持ちで心がモヤモヤバクバクする今見終えて良かった。
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