おにおに

風立ちぬのおにおにのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.8
いい映画には違いないんだとおもいますが、「そんなみんながいうほど感動するかなぁ」という感じ。

絵はさすが宮崎駿!関東大震災のアニメーションとかすごい。細かい人のひとりひとりがごにょごにょ動いてるよ!

描いているのは、堀越二郎技師がモデル。三菱の技術者で、かの有名な零式艦上戦闘機の設計をされた方です。自分のこのあたりの予備知識は、吉村昭「零式戦闘機」によるところが大なのですが、この映画の製作者も、きっとこの本は読んでるんではないかなあと思われるフシが随処にありました。

このあたりの世界の航空機の技術競争の話は、映画を抜きにしてもおもしろいです。
おもしろいのは、戦争の話ではなく、当時の世界の先進各国の技術競争の話。
そして、その中で日本という国が必死でくらいついて、必死でやってるうちに、ついには世界から一歩リードした!っていう話。

技術者の「夢」の軍用機の目指すところの性能は、軍の仕様の要望を満たす、というところで決まります。
速度、上昇能力、武装、航続距離・・
それらを全部満たせば、それこそ世界一の戦闘機、爆撃機!っていうような夢の数字が並んでいて。それを満たすために、限られたリソースや所与の条件の下で、いろんな工夫をする。相手は世界の一流の航空機メーカーです。

そういう話としてみればまぁおもしろかったのですが、宮崎映画としてみたらどうなんだろうか。「ジブリらしい」ファンタジーとか、素直な感動ストーリーとかともちょっと違うしで。そっちを期待すると、零戦の話はなじまない。

たぶん、相容れないんだと思うんですよね。いわゆる「ジブリらしさ」と、こういうドキュメントタッチな重厚なテーマとが。だから、いろんな話が中途半端に見えてしまった、ということで、あまり評価は高くなりませんでした。


ユーミンの「ひこうきぐも」は、よかった!
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