まりりんクイン

風立ちぬのまりりんクインのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.9
「自分が愛し、自分が作る物が、多くの命を奪うかもしれないにもかかわらず、その魅力にとりつかれた男」
「結核という人に移るかもしれない重病にもかかわらず、愛する人と一緒にいることを選んだ女」
「好きなものにとりつかれた」二人は悲しく重い結末を迎えるわけですが、宮崎駿監督はこの二人の「生き方」は全力で肯定しています。勿論それは、アニメーションというものに取り憑かれ続けた宮崎駿監督自身の「生き方」そのものであり、次郎の声を当てた庵野秀明監督の生き方そのものだからなのでしょう。

結核で床に伏せるなおこの横で、タバコを吸いながら黙々と設計図を描く次郎。このシーンに総てが現れているように思います。

はたからみれば完全に「間違った二人」な訳ですが、
「世間が見て間違ってるか」なんてどうでもよいんですよね。この二人の間ではそれで成立しているのですから。

この作品は宮崎駿監督のものづくりへの肯定、そして人生の肯定なのだと思いました。正に「引退作」だと思います。

それと、今残念な感じで何かと話題な岡田斗司夫さんがインタビューと自身のニコニコのチャンネルで行っていた風立ちぬ評が本当に素晴らしいので、あの人の人格や倫理面を無視出来る心の広い評価好きの方は是非観てみてください。
現時点で著名人がおこなっている
風立ちぬ評のなかでは最高の情報量と分析だと思います…
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