スローターハウス154

世界にひとつのプレイブックのスローターハウス154のレビュー・感想・評価

3.4
2020/5/6

名前からして、めっちゃエロい奥義が記された伝説の書をめぐるヒューマン・ドラマなのだろうかと勘違いしていた。一応ラブコメだそうだが「コメ」のコメディ部分なんてあったかね。むしろ、みんな一人一人笑えない現実を生きていくしかねンだよなあとしみじみ思わせられたけども...。
登場人物は概ねヤバい奴しか出てこないんだけど、あの中でいちばんヤバいのはギャンブラーのパパじゃないか?自分だったらあんなのと一緒に住み続けたら親殺しを視野に入れると思う。兄もまた殺されても仕方ないような嫌な奴なんだけど、そんな荒んだ性格の兄に弟である主人公があえて伝える「I Love You」。こりゃ主人公病むだろうなと思う。主人公は今までもこの家族のサンドバッグとして生きてきたのだろうな。かといって生活力の無い主人公は生きるためにはやはり家族と一緒に暮らさなければならない。だから自分が“大人”になるしか生きていけない現実。そのような共依存的な家族像を肯定するようなストーリーの流れに、違和感とフラストレーションを無視できない。あるいはそう感じるのは、自分が家族といえども集団行動が苦手だからだろうか。
そんな歪な家族にも愛の手が差し伸べられることでeverythingがhappyになる。
愛がなければこの世は修羅、と伝えたかった作品なのかなと思わされました。