しーかず

愛、アムールのしーかずのネタバレレビュー・内容・結末

愛、アムール(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

老老介護や見守る親族、そして誰もが訪れる死について、観た人それぞれが様々な立場や角度で感じるものがある作品だと思う。オーストリア、フランス、ドイツ合作の映画ということで、ハリウッド映画にはない良い意味で質素で暗く生々しい世界観に引き込まれた。特に大袈裟にアップを撮らず、引きの画中心のカメラワークはリアルさを感じて良かったし、余白のあるラストと無音のエンドロールは観た後に強い余韻を残された。冒頭のシーンから物語の行先が見えていて辛くなるんだけど、ラストのジョルジュが見た夢なのか幻想なのか、それとも天国での出来事なのかというシーンは辛い中でも僅かな光を感じる良いシーンで、胸を締め付けられた。ジョルジュもあの後亡くなったのは明白ながらもそのシーンは見せなかったり、おそらく全てが終わった後に娘のエヴァが誰もいない家に戻ってきて虚無に浸るシーンで物語が終わったりと、敢えて見せない演出をすることで余韻や深みを増している。静かに淡々と進んでいきながらも観終わった後じわじわと色んな感情が押し寄せる作品。
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