Haruki

汚れなき祈りのHarukiのレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
4.6
2005年にルーマニアの修道院で実際に起きた事件を基に、友情以上の絆で結ばれていたはずの2人の女性が、信仰と愛のはざまで葛藤する姿を描いた作品。

クリスティアン・ムンジウ監督の辣腕が光っている。
繊細で、かつ熱を感じる彼らしい演出で、狭い宗教空間での悲劇とそこに至るまでの激情と葛藤に肉薄する。

この悲劇、そしてこの映画は"過信"というテーマに収束する。
己れの力を過信し、神を過信した人たちの盲信と暴走を描いている。

ラスト、母親を刺殺して死体の写真をネットにあげた息子の話が出てくるが、今回の事件とどこが違うのか。
信仰心の下だからマシなのか、わざとじゃないからマシなのか。

ラストカットの跳ね上げられる泥とそれを拭き取るワイパーがかなり印象的。

息づかいが聞こえる長回しの撮影はさすが。
ドキュメンタリーのようなタッチで、登場人物たちの心の揺らぎに迫っていく。
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