日下勉

汚れなき祈りの日下勉のレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
4.0
2005年に実際にルーマニアの修道院であった、悪魔払い事件が元になった作品。
ルーマニア正教会の修道院のおよそ現代とは思えないストイックな佇まいには驚き、ひたすらに信仰に生きる神父と修道女の姿は興味深い。そこに修道女の一人の孤児院の幼なじみ(同性愛的な感情を持っている)が闖入することによって、次第に事態は悪い方へ転がって行くのが大まかなストーリー。
実にエキセントリックな精神を病んでいる人物に、世間と隔絶して信仰に慎ましく生きている人たちが混乱させられ、どう対応していくのかを淡々と描いて、最後にはなんでこんなことになってしまったのかという結末へ至るまでがとてもリアル。
神父や修道女たちは別にカルトな狂信者たちでは無く、善意の人たちであるがゆえに、その結果の理不尽さが痛い。

ムンジウ監督の新作「ヨーロッパ新世紀」も楽しみ。
日下勉

日下勉