YokoGoto

汚れなき祈りのYokoGotoのレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
3.6
さすがカンヌで脚本賞を受賞した作品。観終わった後、なんとも言えないモヤモヤ感と、傲慢にもみえる神への信仰の危うさをヒシヒシと感じてしまった。とても意義ある作品のように思う。

2005年にルーマニアの修道院で実際に起きた悪魔憑き事件を基にした本作。監督のプロダクションノートに「観客にこの映画を観た後、意見を表明してもらいたい。それはどんな意見でもかまわない。」と監督の言葉としてあったが、なるほど….と思った。さすがに描き方が、監督から強烈な質問を投げかけられたような結末の映画であり、実際、最後まで、監督の答えはなく、見る側にあれやこれやと考えさせる仕上がりになっていたと思う。

とにかく長い。中盤まで、淡々と描かれる修道院の生活と修道女の姿が、何をいいたいのかよくわからない。しかし、物語は始まっているし、問題提起につながる伏線が赤裸々に描かれていた。
この尺じゃないと、確かに伝わりにくかったメインテーマだと思う。

神への信仰に救いを求める事は、尊い行為なのだろうが、それは知らず知らずのうちに、誰かの思考をコントロールしてしまうことかもしれない。そしてそれに翻弄され、救われない者がいるとするならば、それは神と呼ぶべきものなのだろうか?尊ぶべきものなのだろうか?

色んな角度から、傲慢とも思える信仰の危うさと、もろい人間の思考を露わにした作品。
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