OASIS

シュガーマン 奇跡に愛された男のOASISのレビュー・感想・評価

4.0
アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞。

本国アメリカで全くの無名だった男ロドリゲス。
彼は次第に忘れ去られ、自殺説まで流れた。
しかし、彼の歌は遠く離れた地、アフリカで空前のブームを巻き起こしていた。

シュガーマンとは「役の売人」という意味。白い粉=砂糖=シュガー。
彼のアルバムはアメリカでは6,7枚程しか売れなかった。
デトロイトの寂れた場末のスナックで、酒とタバコ、ドラッグにまみれたやさぐれたブルース。
しかし、そんな彼の社会に反抗を示す自由な歌詞は、当時アパルトヘイトの極致にあった南アフリカで爆発的ヒットを飛ばす。
自由へのあこがれと、立ち上がる勇気を奮い立たせる歌として、革命歌としてまでも用いられるようになっていた。
本人の知らない所で、とんでもない奇跡が起こっていたのである。
しかし当の本人は、肉体労働者として日々泥まみれになって働くという生活を送っていたのだった。

「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」のように、やさぐれた男達が再びステージに返り咲く姿というのは、劇場で観るライヴ感もあってなんともいえない感覚が押し寄せてきて泣きそうになる。
しかも、歴史的ヒットにも関わらずレコードは海賊版であり、著作権料は本人の元へと返らず宙を舞う。
日々の肉体労働の合間にも音楽を愛してやまなかった彼の人生、正にロック。
曲はボブ・ディラン調だけど。
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