MasaichiYaguchi

アンナ・カレーニナのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
3.5
ロシアの文豪トルストイの代表作を、現代的な感覚と素晴らしい衣装で彩って描いた文芸作品。
19世紀末ロシアの社交界を舞台に、ドロドロした恋愛劇をスクリーンの中の舞台で演じるという、斬新な手法で繰り広げる。
この舞台のヒロイン、アンナを演じるのがキーラ・ナイトレイ。
その妻に振り回される可哀相な夫、政府高官カレーニンをジュード・ロウが演じ、彼女の恋人である若き将校ヴロンスキーをアーロン・テイラー=ジョンソンが演じている。
この三人が繰り広げる三角関係は、ストーリーが進むにつれ、後戻り出来ないところまでいく。
政府高官の妻という地位や華やかな生活、表面的には円満な家庭生活も捨て、不倫の恋に走るアンナ。
愛って、本当に厄介だ!
身を焦がす様な恋愛経験はないが、幸せが最上であればある程、それに暗雲が垂れ込んだ時は、身が裂かれる心情だと思う。
自分の気持ちに正直に愛を貫いたとはいえ、不倫は人の道に外れた行いだから、代償は大きい。
このアンナと対照的な人物として、地方の地主であるコンスタンティン・レヴィンがいる。
コンスタンティンは大地に生き、農業に人生をかける。
彼は一途にアンナの兄嫁の妹キティに思いを寄せ、紆余曲折はあるものの最後には結ばれる。
彼は、自分の思うままに生きるのではなく、家族や他者の為に生きる。
私は、このアンナとコンスタンティンとの対比の中に、トルストイは人生の意義を描いていると思う。