けーはち

ジャッキー・コーガンのけーはちのレビュー・感想・評価

ジャッキー・コーガン(2012年製作の映画)
2.0
チンピラに金を奪われた賭場の親分が、殺し屋を雇って場の番頭を見せしめに血祭りにあげ、それから賭場荒らしどもを始末する。それだけの話だが、主演ブラッド・ピットをはじめイカツイ男どもが下卑た話題を交えつつ、取引・交渉、仕事をやる・やらない、自分じゃやりたくない・誰にやらせる etc... 延々会話劇で引っ張る。タランティーノ的「だらだら会話劇の流れで意表をついて突然殺す」暴力を引き立てる路線を狙ったのだろう。原作は74年のノワール小説であるが本作の設定は2008年。当時リーマン・ショック後の大不況。TVやラジオで流れるのは経済政策の批判、大統領選に勝利したオバマの演説。主人公は冷ややかに「アメリカは国家じゃない、ビジネスだ」と吐き捨て……そう、言いたいこと・やりたいことは分かるっちゃ分かる。が、下品なだけで会話劇は面白くないし、冷徹なプロ殺し屋の主人公に対して他の登場人物が人情味厚く共感できるわけでもないので「資本主義経済中心のアメリカ批判」的な要素と物語は何ひとつ噛み合わねぇ~。何より今となってはドナルド・トランプ大統領後の世界で、現実が虚構を飛び越えてしまった……観るべきは散々ゴネた後のブラピの殺しっぷりぐらいか。